大学生200人に、Gospelってどういうイメージがある?とたずねると、このような回答が返ってきました。
「大きな人がゆらゆら歌っているかんじ」
「大人数で歌うものかな」
「教会で歌ってんじゃない?」
確かに間違っていません。
でも、Gospelには本来どのような意味があるのでしょう?
Gospelとは良い知らせ
Gospelは、元来「良い知らせ、福音」という意味です。アメリカ英語の発音は、ゴスペルではなく「ガスポー」と発音します。Gospelは、たとえばこんな風に用いています。
The Gospel of John=ヨハネの福音書
これは新約聖書に出てくる「ヨハネ」という人が書いた書のことです。ヨハネが書いたそのGospel=良い知らせとは、一体何でしょうか。それは短く言うと、神さまが私たちを愛してくださっていること。一人も滅びないためにイエス・キリストをこの地上に送られたこと。そしてそのGospel=良い知らせは、貧富の差関係なく人々に与えられているということです。つまりGospelとは、本来音楽とは関係のない言葉なのです。
Gospelとは黒人による讃美歌
このGospelという言葉は、ある人物がきっかけとなり、黒人が教会で歌う音楽というイメージになりました。1863年、アメリカではリンカーン大統領によって奴隷解放宣言が出され、奴隷だった黒人たちに自由が与えられました。しかし自由になってもなお、現実では差別や格差があるのは当たり前でした。そのような中1899年、「ブラックゴスペルミュージックの父」と呼ばれる「Thomas. A. Dorsey(トーマス・A・ドーシー)」が生まれます。
ドーシーは、牧師である父と音楽教師であり教会のオルガニストであった母の間で育ちます。ブルースやジャズのピアニストとして活動していたドーシーは、聖書のGospel=良い知らせに、その黒人独特のリズムと音楽をのせて「新しい讃美歌」を教会で歌っていきました。
彼がその曲を、「Gospel Music(ゴスペル・ミュージック)」と呼ぶようになったとことから、Gospelというと、「教会で歌う黒人の讃美歌・音楽」というイメージが定着しました。
Gospelというのは、音楽のジャンルやスタイルというよりも、どんな内容を歌っているのかが鍵と言えるのかもしれませんね。
まとめ
・聖書の「良い知らせ」という意味
・ブラックゴスペルミュージックの父「トーマス・ドーシー」が創作した黒人の讃美歌